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どろぼうの神様

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 人の本棚をあさってみつけた本なので、著者やその本のバックグラウンドなどはまったく知らずに読み始めた。数年ぶりの児童書で、字の大きさや、素敵な挿絵、表紙の色や絵に、まず癒されるような気分だった。

 ストーリーは、スピード感やスリリングな展開は少ないので、いっきに引き込まれるような感覚にはならなかったのだが、読み進めているうちに、じわじわとその世界に浸っていけるものだった。

 舞台となっているヴェネツィアの町並みの描写は、子供のころの「ごっこ遊び」を思い出させた。地面や床は海なので、ブロックや、椅子、テーブルなど、少し高くなっているところだけをつたって移動するという遊びだ。台車を船にみたて、バットをオールがわりに地面を漕いで離れた場所に渡ったり、物干し竿を使って棒高跳びの要領で、遊具と遊具の間を飛び越えたり。

 それが、本を読み進んでいると、子供たちの視線で描かれているヴェネツィアの町に、いつしか自分も迷い込んでしまったような感覚になり、本物の水の都で、ひょいひょいと水路を飛び越えて走り回っているような気分になる。自分も一日中、迷路のような路地を駆け巡って遊ぶ、星の隠れ家の7人目のメンバーになったかのように。

 ヴィクトールや、スパヴェントさんとそのメイドなど、子供たちが自然に頼りにしてしまう優しい大人たちが登場するのも嬉しいし、また、心から憎むべき悪人というものの登場がないため、終始温かい気持ちのまま読み進めることができる。

 しかし、最後はどこかせつなくもの悲しい気分にさせられてしまった。楽しかった本を読み終えてしまった寂しさだろうか。もうみんな(登場人物たち)に会えなくなってしまうという寂しさだろうか。自分がまた大人に戻ってしまったという寂しさだろうか。でも、もう一度子供に戻りたいと思っても、魔法のメリーゴーラウンドは心までは子供に戻してはくれない。だからまた童心にかえれる良質の本を探すしかないのだなぁ。


 →「どろぼうの神様同盟」なるHPまであった。それだけ夢中になれる魅力的な本なので、作った人の気持ちもわかるなぁ。わたしも影響されてお話しを書きたくなっちゃったし。
 
by mimimarutaro | 2005-06-10 12:12 | 本・映画


のあのあな生活を送りながら、もろもろのことを楽しんで


by mimimarutaro

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